大判例

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最高裁判所第三小法廷 昭和26(れ)493 判決

主 文

本件上告を棄却する。

理 由

弁護人三橋毅一の上告趣意第一について。

所論A、Bの両名は、いずれも証人として第一審公判廷に喚問され被告人並びに

弁護人の面前において尋問されているのであるから、当時被告人に対しては審問す

る機会を充分に与えられたものである。されば、原審が第一審公判廷における前記

証人等の証言を証拠として採用したからとて憲法の規定に違反するものではない(

昭和二四年(れ)七三一号同二五年三月一五日当裁判所大法廷判決参照)。

所論は結局原審の自由裁量に属する証拠調申請の採否並びに証拠の取捨判断を非

難するに帰するので採用できない。

同第二について。

論旨には判例違反の語があるけれども、その実質は原審に事実の誤認があること

を主張するものに外ならないから上告の理由として採用することができない。なお、

所論中には原審が証拠に採用した第一審第五回公判調書中の被告人の供述が憲法三

八条二項にいわる不当に長く拘禁された後の自白であるとの主張もあるが、記録に

よると被告人は昭和二三年一一月一五日逮捕されて同月一八日勾留され、同月二七

日検事の取調に対し本件賍物の運搬並びに牙保の事実を自白し、翌二八日福岡地方

裁判所小倉支部に起訴され、同年一二月二〇日の第一回公判の冒頭の陳述では公訴

事実を認めたが詳細な取調に入ると賍物知情の点を否認し、昭和二四年四月二二日

の第五回公判において裁判長が被告人の供述と証人の証言との矛盾や共犯者の逃走

中であること等を指摘し「自分一人罪をかぶるのが馬鹿らしいと思つて言い逃げす

るのではないか」と問うたところ、被告人は「誠に申訳けありません、実はおさと

しの通りで……ありのまゝの事を申上げます」と前提して本件犯行を再び自白した

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ことが判るのである。そして本件については、被告人側申請の証人の所在が不明の

ため召喚状の送達ができなかつたり被告人に起訴された別事件があつたりした等の

事情もあるのであつて、これらすべての事情を綜合すると被告人の前記第一審第五

回公判調書記載の自白は不当に長く拘禁された後の白白であると認むべきものでは

ない(昭和二二年(れ)二七一号同二三年六月三〇日当裁判所大法廷判決参照)。

よつて、本件上告を理由ないものと認め刑訴施行法三条の二刑訴四〇八条に従い

裁判官全員の一致した意見により主文のとおり判決する。

昭和二六年七月一七日

最高裁判所第三小法廷

裁判長裁判官 長 谷 川 太 一 郎

裁判官 井 上 登

裁判官 島 保

裁判官 河 村 又 介

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